(仮の話)
『突然、眠る前に…』
ある年の元日の夜、正確には2日になろうとしていた深夜だったかの、私は何を思ったのか…突然アイが欲しくなった。決して孤独ではない布団の中で、そんな事を考えていた私自身に、内心は驚いていた。
そのアイは、どんなカタチをしているのでしょうか?
全くと言うほど、理想のアイのカタチもない私自身に、この時だけは暫く考えてしまっていた。
歪に生きていた私自身は、今更アイなど…本当に欲しかったのでしょうか?
カチカチと音を鳴らす年季のある掛け時計、リズムは一定で、余程のことがない限り、今でも時間は正確に動いている。完全に暗闇ではない、豆電球の明かりを残して、布団の中で私自身は一体何を考えていたのだろうか。眠りに就いたら、私自身は夢の世界へ溶け込んで行く。子供の頃よりも、遥かに大人になってから、よく夢を見る回数は増えた。そして、その夢で見た不思議な内容も、たまに覚えていたりする。
流星群のように、一瞬で儚く散れば奇麗なのだろうか?
一瞬で儚く散れば、お願い事は叶っているんだろうか…。
闇夜。
闇夜の世界。
静寂に包まれたら、夜が怖いという。
夜になれば、不安だという。
夜になっても、眠れないのという。
深夜が怖い、怖い。
不安で不安。
眠れないの。
闇夜の静寂さは、時間すら飲み込んで掻き消す。
永遠の暗闇は、一生を付き纏う?
「貴方は、誰?」と尋ねたいの?
貴方は影じゃない、暗闇なの。
恐怖心を与えているのは、暗闇?
目を瞑れば、そこは果てしない。
「不安だ、不安だ」と叫んでいるのは、口から出た言葉?それとも、ご自身の心の声?
暗闇は永遠に眠らない。
闇夜はいつかは眠りにつく。
私達は、深夜が過ぎれば目を覚ます。
明るい日差しを知っているから。